学級崩壊が起こると、いじめが発生しやすくなります。
しかし、これまでの教員としての10年以上の経験からすると、学級崩壊中に起きたいじめは解決に向かいやすいところがあります。
なぜなら、学級崩壊中の子どもたちのシビアな目は担任に向いているからです。
担任が適切に指導をすれば、学級崩壊中のいじめは解決することができます。
この記事では、学級崩壊中にいじめを解決した僕の経験と合わせて、
「なぜ学級崩壊中にいじめが起こるのか」「いじめの解決方法」について解説していきます。
この記事ではこんな疑問に答えます。
結論から言うと、学級崩壊中のいじめを解決するには、保護者の協力と担任の低姿勢がポイントとなってきます。
ポイントをしぼって指導することで、学級崩壊中のいじめは早めに解決することができます。
では、どうやって保護者の協力を得て、いじめを解決していくのかを知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
学級崩壊中にいじめが起こるとは<担任は強烈に共感>
学級崩壊が起こると、一部の子どもが荒れるようになります。
その荒れた一部の子どもがいじめを起こし、担任といじめの被害者を標的にします。
毎日、同じことを指導するたびに、子どもたちが反発をするようになり、そのうち担任の小さなミスを子どもが責めるようになりました。
当時は管理職と保護者がうまくいっていなかったこともあって、親子で学校を責めることがあり、次第に学級が荒れていきました。
学級が荒れ始めたある時、3~5人の子どもたちが”手紙回し”を始めました。
始めはアニメについての話から学級への不満、担任への不満、そして、同じ学級の子について書かれるようになりました。
当時の僕は、担任としていつも教室を観察していたつもりですが、すぐに手紙を発見することはできず、手紙回しは1週間以上続いていたようでした。
手紙の内容は、アニメのことが2割、学級への不満が6割、学級の子についてが2割といった感じで、手紙回しをした子へ指導した当時も「学級がつまらないからやった」という理由から始まったようでした。
手紙回しは、授業中の子どもの不審な様子から担任が手紙を発見し、中身を読んだところ、同じクラスのある子の悪口が書かれていることが分かり、いじめが発覚しました。
当時の僕は管理職にすぐに報告をし、手紙の内容から手紙を回した子を特定しました。
その後、手紙を回した子全員を指導しました。そして、保護者にも連絡。
当時も学級は荒れていたのですが、保護者はいじめであることをすぐに理解し、保護者は「家庭でも子どもに話します」という様子で事の重大さを分かってくれたようでした。
学級崩壊中のいじめは学級がつまらないという不満から発生します。
いじめをする子どもの中には学級の不満を口にする子が多いですが、だからといって、いじめをしていいわけではありません。
しかし、いじめをしてしまった子の話を聞くと、「先生の授業がつまらないから」など、担任の良くないところを指摘されて、担任も精神的なダメージを受けます。
だから、担任といじめの被害にあった子の気持ちは同調しやすく、担任はその分親身になって対応することができます。
Twitterでも傷ついている担任の先生は多くいます。
子どもからと言えども心無い言葉は心が痛みます。
今日も「死ね」「ファック」と言われ中指を立てられる。主任者会議にも出て、なんやかやと18時半まで仕事した。時々、ふと授業中にも泣きそうになって声が詰まる。
それでも夜ごはんをちゃんと作った私えらい。— さくら先生 (@pVPDe7Jo1Fpllbb) June 24, 2021
学級崩壊中は担任もつらい思いをしているので、いじめられている子と担任が結束して、いじめ解決に向かうことができると思います。
学級崩壊中にいじめられた子はどうなるのか
学級崩壊中にいじめられた子は、その後2つのパターンに分かれます。
- 学級を荒らす子たちに対抗し続ける
- 学級を荒らす側になる
学級崩壊が起こると子どもたちは主に学級を荒らす子とそうでない子の2つに分かれます。
2つのパターンについてさらに解説します。
学級を荒らす子たちに対抗し続ける
学級崩壊が起きても、真面目に授業を受けようとする子は必ずいます。
忍耐力がある子は、いじめられていても学校生活を真面目に過ごそうとします。
休み時間に本を読んだり、仲の良い友達とだけ話したりして、自分になりに学校を過ごそうとします。
学級を荒らす側になる
いじめられたことをきっかけに先生の信頼関係をなくし、いじめた子たちの言動を真似して先生に反抗的になることがあります。
担任が親身になって相談しても、結局、また友達からいじめられることを避けて、反抗的な態度をとるようになります。
休み時間は大人しく過ごしていますが、先生からの指示に従わなかったり、学校でわがままを言ったりします。
学級崩壊中にいじめられている子に気づくためには
学級崩壊中にいじめに気づくには子どものサインを見つけることが重要となります。
しかし、いじめが起きるといつも手紙回しがされるわけではありません。
担任はいじめのサインを見つけることが大切です。
学級崩壊中にいじめられている子のサイン3選はこちら。
- 学力低下
- 先生への反抗
- 登校しぶり
学力低下
いじめられた子は授業に集中できないためか、学力が低下することがあります。
「いつものように勉強は頑張っているのに、1学期に比べて2学期の方がテストの点数が下がっている」などの例があります。
いじめられた子はテストの点数が下がりやすいので、テストの点数から追っていくといじめのサインを見つけられることがあります。
先生への反抗
普段おとなしい子が急に先生に反抗的になるときがあります。
いじめられた子は自分を守るために、あえて先生や友達に冷たい態度をとって周りに負けないようにすることがあります。
先生が何気なく話しかけた時に、ムスッとした態度や声かけに反応しないなどが見られたら、いじめられているサインかもしれません。
登校しぶり
学級崩壊中にいじめられた子は、気持ちが学校に向かなくなり登校をしぶるようになります。
直接的ないじめを受けていなくても、なんとなく教室に居場所がないと登校をしぶり始めます。
登校しぶりで、主とする理由が見当たらない子は人間関係で悩んでいるかもしれません。
学級崩壊中のいじめの解決とは<いじめ対応のセオリーにそって行動>
学級崩壊中のいじめは、担任がいじめ対応のセオリーにそって行動すれば解決できます。
- 子どもから事情を聞く
- 事実を確定する
- 子どもたちに指導をする
- 保護者への連絡
- 事後観察
かんたんに言うと、「事情を聞いて、事実を確定し、子どもたちへの指導をして、保護者連絡、その後も観察」といった流れが一般的になります。
それぞれポイントがあるので、一つずつ解説していきますね。
子どもから事情を聞く
子どもから事情を聞くときは、指導したいことがあっても、まずは子どもの話をしっかり聞く心がけが大切です。
「相手がなぜその行動をしたのか」、「どんな気持ちがあったのか」といった子どもの気持ちや行動の背景まで聞くようにしましょう。
指導したいことは後から指導する時間があるので、その時にまとめて指導することがおすすめです。
事実を確定する
人間の行動には必ず理由があるはずです。
子どもが無意識にやってしまったことに対しても、いじめがきっかけとなった時の気持ちを子どもに振り返えさせて「始めは遊び半分だった」「冗談のつもりだった」のように、行動の何かしらの理由や背景を整理することが大切です。
子どもには「友達と遊びたかった」「けんかになるようなことを挑発された」のように何かしらの理由があると思います。
保護者や管理職のような第三者が「なぜそんな行動したのか分からない」といったことがないように、子どもの行動の背景をつかんでおくと良いと思います。
子どもの話を聞いていると、自分を守るための嘘や記憶違い、思い込みなども見られることがあります。
担任は事実の流れに矛盾はないかを確認しながら事実を確定していきましょう。
子どもたちに指導をする
子どもから事情を聞き事実が確定したら、子どもたちに指導をします。
ここでポイントととなるのが、「子どもに指導の不平等さを感じさせないこと」です。
よくある子どもが不平等に感じるパターンはこちら。
- あの子は呼ばれていないのに、私だけ呼ばれて指導された
- 僕は見ていてだけなのに、やっていた子と同じように𠮟られた
- 男子には厳しく叱られて、女子には優しく指導されていた
子どもたちによって不平等が感じるポイントが違うので、不平等を感じない指導を心がけましょう。
保護者への連絡
学級崩壊中であったとしても、いじめはあってはならないことです。
保護者にいじめがあった事実と指導したことを伝える必要があります。
保護者へいじめがあったことを連絡するときの流れはこちら。
- 事実を伝える
- 指導した内容を伝える
- (必要なら)なぜ指導が必要だったかについて話す
- 保護者の気持ちを聞く
- これからの対応や担任の思いを伝える
終盤に保護者の気持ちを聞くことで、保護者がいじめがあったことや指導した内容について理解してもらえたか確認することができます。
“事実や担任の思いだけを一方的に伝えるだけ”ということにならないにしましょう。
事後観察
いじめの指導後、指導したからといって解決できたとは限りません。
指導の後、3か月間は子どもたちの様子を観察する必要があります。
心配であれば、定期的に個別に相談を行いましょう。
学級崩壊中でのいじめについて<まとめ>
学級崩壊のいじめの解決は、
- 保護者の理解
- 保護者の協力
があれば解決することができます。
学級崩壊中は担任の指導が通りにくく、担任一人の力だけいじめを解決することは困難です。
いじめがあった事実を保護者に伝え、学校でどのような指導をしたのか、なぜその指導をしたのかを保護者に伝えましょう。
学級崩壊中のいじめ解決にいちばん有効な手は「保護者の理解と協力」です。
保護者の理解と協力を得ることができれば、いじめをしている子は違ったものに目を向けるようになるので、学級崩壊中のいじめは解決に導くことができるでしょう。
世の中に学級崩壊に関する本を読んでがいくつも出ています。本サイトでも別記事「【解説】学級崩壊したときに必ず読みたい本・書籍10選【実話あり】」で紹介しているので、ぜひご覧ください。