親が原因で学級崩壊が起こることがあります。
なぜなら、子どもは親からの影響を大きく受け、親の先生への不信感が子どもに伝わることがあるからです。
今の学級が荒れているのは親のせいなのかもしれない。
教員を10年以上続けていて、親が原因で学級崩壊したことがあります。
親が原因で学級崩壊した時の対処法をリアルな経験談を交えて解説しますね。
この記事では、こんな疑問に答えます。
この記事では、学級崩壊を起こす親の4つのパターンと、学級崩壊が起きた時の対処法について解説します。
親のパターンごとに対処法も解説していくので、親が原因で学級崩壊した時もすぐに解決の糸口を見つけることができると思います。
学級崩壊で悩まれている先生はぜひ最後までお読みください。
【親向け】学級崩壊が起きたときの対処法が知りたい方は、こちらへ
学級崩壊の原因となる4つの親のパターンとは
- 仕事命の親
- わが子のことしか考えない親
- 子どもに無関心な親
- 学校にもともと不信感をもつ親
仕事命の親
①仕事命の親のパターン
親が仕事に忙しく、子育てどころではないと、その子どもは親に放っておかれやすくなります。
学校で何か問題があったときに、親子で話し合うことがなく、指導はすべて学校任せといった状態になります。
そうなると、子どもは親に相談することもできないので、心が安定せず、教室で子どもが落ち着かなります。
そういった子どもが何人もいると学級崩壊の原因となります。
仕事命の親の特徴はこんな感じです。
- 担任が何度指導しても子どもが宿題に取り組んでこないので、担任の指導の力が無力化していく
- 忘れ物が多く、提出物の期限が守れないor出せないので、学級がまとまらない
わが子のことしか考えない親
②わが子のことしか考えない親のパターン
我が子の可愛さあまりに、親が子どもの主張をすべて信じると、子どもの間違いやウソに気づけないことがあります。
子どもが「どんな悪いことをしても親が僕の味方をして守ってくれる」という経験を重ねるほど、子どもは親を利用しようとします。
学校でうまくいかないことがあると、子どもと親が一緒になって担任やクラスの子どもを責めることがあります。
- 学級のルールをしっかりと守らせたいときに、子どもだけでなく親まで出てきて、学級のルールがまとまらない
- 学校で問題を起こしても親が守ってくれると勘違いをし、子どもは担任に強気で反抗するので担任とのぎくしゃくが続く
子どもに無関心な親
③子どもに無関心な親のパターン
子どもが学校で起こした問題はすべて学校の責任と考えて、子どもに躾(しつけ)をしようとしないので、子どもが問題を繰り返し起こしたり、担任と子どもの信頼関係が悪化したりします。
子どもからすると「家では全く叱られないのに、学校では𠮟られてばかりになる」となり、学校での不満が高まりやすくなります。
- 学校で叱られた後、家でのフォローがないので子どもが何が悪かったのか反省しにくく教師への反発を招きやすい
- 子ども本人がいちばん困っているのに、助けの手が入らないので、子どもは「学校に行きたいくない」と思うようになり、教室で落ち着かなくなる
学校にもともと不信感をもつ親
④学校にもともと不信感をもつ親
親自身が子どもの頃に学校に不満をもっていた
親が、子どものときにもった学校への不満を抱えたまま大人になると、母親や父親になったときに、子どものときの不満も合わせて学校にぶつけることがあります。
学校に不満をもった親の子は、学校への不満をもちやすく、学校で指導に従わなかったり、落ち着かなかったりします。
- 子どもが学校に行きたくないと思うことが多くなり、担任のの負担が増える
- 子どもが行事や授業参観などの大切なイベントでも休みがちで、クラスがまとまろうとするときに人数不足が起こる
本当に親が原因で学級崩壊は起きている【親子で不満】
子どもは親の影響を大きく受けているので、学校に協力をしない親の姿勢が子どもに伝わり、子どもが学校に反抗的な態度を取るようになります。
実際に僕が学級崩壊の引き金となった事例を紹介します。
清掃と給食の学級ルールに子どもが不満をもち、その不満を子どもが家で親に訴え親も一緒になって学校にクレームをいれるようになりました。
不満の内容としては、
- 給食の準備中に白衣を着たくない
- 清掃の時間におしゃべりせずに無言で掃除するのは嫌だ
という内容でした。
親には、①白衣は衛生上着なくてはいけない②清掃の時間におしゃべりが始まると掃除がおろそかになるから、清掃の時間はおしゃべりせずに掃除に取り組んでほしいと伝えたのですが、
協力してもらえず、学校の白衣は不衛生だとか清掃の時間がつまらないなどと何かと理由をつけて親子でクーレムばかりつけてくる日々でした。
結局、学級のルールを守ろうとしない子がいることで、少しずつ学級の規律は乱れていきました。
「A君が白衣を着ないなら僕も着ない」といったように周りの子どもたちも変わってしまい、とにかくその後の生徒指導がやりにくくなり、学級が荒れていきました。
親の考えは子どもに大きな影響を受けます。
親が近所へのあいさつを大切にする方だと子どもはあいさつをよくする子、親が旅行が好きな方だと子どもも旅行好きになります。
親が学校に協力しない考えだと、子どもも学校に反抗という形で協調性をもたず、学級崩壊のきっかけとなります。
どんなに教師が親に「〇〇した方がいいですよ」「△△はしてはいけないです」と伝えたところで、親の考えが根本的に変わることは、これまでの10年を超える経験でもありませんでした。
- 子どもは親の影響を大きく受け、親の考え方で子どもが反抗的になることがある
- 親の考え方を根本的に変えることは教師にはできない
親が原因で学級崩壊が起きたときに取るべき対処方法
親が原因で学級崩壊が起きたときの対処法を、
の2つに分けて紹介します。
教員向けの学級崩壊対処法
【教員向け】親が原因で学級崩壊したときの対処法は下のようになります。
- 親子の話をしっかりと聞く
- 相手を否定しない
- 担任(先生)側から歩み寄る
- 改善できるポイントをしぼる
一つずつ解説していきます。
親子の話をしっかりと聞く
親が原因で学級崩壊したときは、まずは相手の話をよく聞くようにしましょう。
学級崩壊までしていると、親の発言も「あなたを担任の先生として認めたくない」「うちの子が悪さをするのは先生のせいだ」のように、かなりハードなものになってきます。
しかし、解決するためには話し合いは必須です。
相手の意見に聞く耳を持つようにしましょう。
先生として思うことはあると思いますが、まずは相手の話を聞きましょう。
始めは反論ばかりしていたのですが、話が進まず同じことで巡っている状態となって時間ばかり取られるので、最終的には親の意見を聞くことに徹していました。
ただ、相手が誤解していることや事実として違うことには「それは事実と違います。本当は、〇〇でした」と伝えていました。
相手を否定しない
親の話を聞くときは、相手を否定しないようにしましょう。
親によっては意見の内容よりも感情を受け止めてほしいだけの場合もあります。
まずは教師として親の気持ちに寄り添う姿勢を取りましょう。
担任(先生)側から歩み寄る
学級崩壊中は、担任から親に歩み寄るように連絡を取りましょう。
しかし、これまでの経験上、どんな親に対しても担任は積極的に連絡をした方がいいです。
学級崩壊中は、親が担任への信頼を失くしているので、親が誤解することが多いです。
ということがないように、
担任は子どもに指導した後は、親に積極的に連絡をいれるべきです。
親との関係がこじれている時こそ、文字の手紙よりも、声を交える電話の方が親は担任の意図を理解してくれると思います。
親への連絡で気を付けたいポイント
- 今日あった出来事を伝える
- 何がいけなかったのかを伝える
- 今後、子どもにどうなって欲しいと指導したのかを親に伝える
- 親の気持ちを聞く
- 子どもに指導した内容がうまく伝わっていなかった時のフォローを親にお願いする
「①子どもに指導する⇒②親に連絡する⇒③親の気持ちを聞く」というサイクルを繰り返すことで、担任は親に歩み寄ることができるようになります。
改善できるポイントをしぼる
学級崩壊中は親からいくつも要望を出されることがあります。
親には「分かりました。改善できるように努力します。しかし、いきなり全部を改善するのはかなり難しいので、〇〇と△△と□□から取り組ませてください」というように、改善すべき点をしぼっていきましょう。
保護者向けの学級崩壊対処法
【保護者向け】親が原因で学級崩壊したときの対処法は下のようになります。
- 状況を整理する
- 子どもの話を鵜呑みにしない
- 理由から伝える
- 伝える相手の順番を守る
一つずつ解説していきます。
状況を整理する
学級経営崩壊中は、情報の行き違いが起こります。
子どもからの情報なので、親としても信ぴょう性を確かめたいところだと思います。
学級崩壊が起きているかどうかに関わらず、親は子どもからの情報だけに頼らず、担任や学校の先生に事実を確認することをおすすめします。
子どもの話を鵜呑みにしない
学級崩壊をしているときは、子どもは、思わず誤った情報を親に伝えたり、わざと親に間違った情報を伝えることがあります。
子どもは、大人から怒られないように都合の良いことを言って、大人の𠮟責から逃げようとすることがあるからです。
- クラスに落ち着きがなくトラブル続出のため、子どもがクラスの出来事をすべて把握していない
- 学級崩壊が起こると先生が怒ってばかりになるので、子どもが怒られたくないために事実を隠す
- 担任の先生の信用が下がると、子ども同士がグルになって反発するので嘘が生まれやすくなる
- 親が担任に不満をもっていることを子どもが気づくと、担任のせいにしてやり過ごそうとする
親が子どもの言うことをすべて鵜呑みにすると、子どもはどんどん自分の都合のいいことばかり言うようになります。
子どもの話をすべて信じ込んでしまうと、事実がみえなくなることがあります。
学校は、担任が事実を把握していなくても、子どもたちに聞き取りを行うなど、事実を明らかにすることができます。
まずは事実を明らかにしてから次の行動の判断をしましょう。
先生に理由から伝える
学級崩壊が起きると、担任は多忙となります。
学級崩壊が起きたときの担任の業務
- 教室で起きた問題を子どもたちに指導する
- 指導した内容を保護者に連絡する
- 指導した内容を報告書にまとめる
- 校長や教頭、関係する職員への報告をする
- 今後の対策について打ち合わせを行う
- 今後の対策を文章でまとめる
- 今後の対策を進める
このように学級崩壊が起きると、一気に担任は忙しくなり、親の要望に応えることができない時があります。
これだけ担任が忙しいと、親の要望を聞く時間がなくなります。
そこで、そんな多忙な教員に対しても、親が要望を聞いてもらえるテクニックを紹介します。
そのテクニックとは、
人間の心理として、理由を先に伝えると相手に行動してもらいやすいという面があります。
ある心理学の実験
-
- うまくいく例:コピー機待ちで並んでいる人に「急いでいるので、5枚だけコピーさせてください」と割り込む⇒100%ではないが高確率で成功
- うまくいかない例:コピー機待ちで並んでいる人に「5枚だけコピーさせてください」と割り込む⇒成功率△
この心理学のテクニックを使えば、電話で何十分も時間を取られることを防ぐことができます。
このように、多忙な教員に要望を出すときは、まずは先に理由から伝えてから要望を出すことをおすすめします。
伝える相手の順番を守る
学級崩壊中は担任がとにかく忙しくなります。
しかし、親が要望を出すときに、いきなり担任に連絡せずに管理職に連絡をするのは基本的には良くないです。
やはり物事には順序というものがありますし、スタートを担任の先生、それでも親が納得できないのなら管理職に相談といった具合にきちんと段階を踏んでいった方が、これまでの教員としての経験上、うまくいくことの方が多いです。
担任に相談しても物事が進展しないときは管理職に相談するといったように順番を意識してみてください。
学級崩壊の原因は親まとめ
学級崩壊は親が原因で起こることがあります。
親が担任や学校に不満をもっていると、子どもは親のことを何気なく気にかけながら生活しているので、親の考えに敏感です。
子どもは親の影響を大きく受けるので、子どもが学校に不信感をもつと、学校で反発をしたり、先生の言うことを無視したりして生活が落ち着きがなくなります。
親が原因で学級崩壊が起きた時は、これまでうまくいっていたこともうまくいかなくなります。
記事で紹介した対処法を参考にしながら、新しい手立てを考えてみてください。